RPAに仕事を奪われるってホント?|海外レビューや過去事例から見えてくるもの
前回記事ではRPAの入門編にあたる、基礎的な内容について解説しました。きっとRPAの便利さ・可能性についてご理解いただけたと思います。
しかしその一方で、
- 今の仕事、いつかロボットに奪われるの?
- RPA導入で浮いた時間、どう活用すべき?
- 事務職で働いてるけど、これからどうしよう。。。
といった疑問・不安が浮かんだという方もいらっしゃるようでした。
そこで今回は「RPAの普及で人間の仕事が奪われるのか?」というテーマについて掘り下げて考えてみたいと思います。
ご自身の働き方やキャリアを考えていただく上で、少しでも参考にして頂ければうれしく思います。
- ヒトとロボットの役割の違い。RPA失業は増えるのか?
- 事務職の方が目指しておきたいスキルアップの方向性を提言
- 「現場仕事の現在地」から「事務仕事の将来像」を考える
「RPAに仕事を奪われる」ってホント?
まず結論から申し上げると「近い将来、仕事の多くはロボットが代替することになる」のではないかと考えています。
しかし、これは「人間の仕事がロボットに奪われ、失業者が世界中に溢れる事になる」いわゆるRPAによる失業が増えるという意味ではありません。
RPAが普及した未来とはどのような世界になるのでしょうか?
実際に「RPAで自動化に成功したケース」をもとに もう少し掘り下げて考えていきたいと思います。
RPAで自動化成功⇒クビ!は短絡的すぎる
実は、RPA導入に成功したとされる現場にフォーカスしてみても、 自動化に成功した企業が「仕事の自動化=解雇」という判断に至るケースはそれほど多くありません。
その一方で、これまでの単純作業の仕事から“より高度な仕事へ”の配置換え・異動という経営判断がとられています。
これは日本と比べて雇用の流動性が高い 海外の事例においても、同じような動きが報告されています。
↓は外部サイトへのリンクですが、ハーバードビジネスレビューにも同様の記述があります。英語を読める方は、参考までに目を通してみてください。
■【参考】ナレッジ・ワーカー(知識労働者)がロボットによる自動化から得るもの ※外部リンク
RPAの普及でハタラキカタは変わる?
ここで少し「新技術の登場」と「雇用」の関係性について考えてみましょう。
これまでの歴史を振り返ってみても、新技術の登場(=パラダイムシフト)は悪影響ばかりではありませんでした。
たとえば、かつて電灯ではなくガス灯が普及していたころ、「陽が落ちてあたりが暗くなる時間帯になったら人間が街灯を点火して廻る」という職業があったそうです。
このような職業は、電気技術と社会インフラが発展した2020年には、職業ごと淘汰されてしまった、と言えるかもしれませんが、同時に「街灯が電気になった=人々から仕事を奪った」という訳ではありませんよね。
実際には発電所の維持・運営や送電といった領域において、新しい雇用が生まれています。
このように歴史を振り返って「技術の進歩=人々の生活が豊かになる」という過程を考えてみると、同時に世の中の仕事が “より高度な仕事”に移り変わっていることを理解できるのではないでしょうか。
製造業の事例からわかるRPA普及後の未来
「産業ロボットで自動化が進んだ製造現場(いわゆるブルーカラー)がどのような道を歩んできたか?」を振り返りつつ、
「RPA導入が進んだ事務仕事(ホワイトカラー)がどのような未来を迎えるのか?」について考えたいと思います。
さっそくみていきましょう。
製造業が歩んだ「機械化」の流れ
高校時代(?)、近代史の授業で学んだように、産業機械はヒトの歴史において非常に大きな革命をもたらしました(18世紀前後の産業革命)。
現代でもその流れは続いており、例えば「自動車製造」や「航空機製造」などの、いわゆる重工業という産業は、機械の登場・活躍なしには実現できなかった業種だと言えるでしょう。
さて、産業革命以降に生まれた新たな産業が私たちの生活を変えたことから得られる教訓はどこにあるのでしょうか?
次のセクションではもう少し踏み込んで “ホワイトカラーが進む道”について。すなわち事務仕事における“新たな仕事”について考えていきたいと思います。
“ホワイトカラー”が進む道
重ねてになりますが、ブルーカラーの現場では ロボットによる自動化が進むことによって 新たな産業の登場・発展がみられました。
これを踏まえてロボットが普及した後にどのような仕事が生まれるか?二つほど例を上げて考えてみたいと思います。
ひとつめとして「自動化を管理」する仕事を挙げたいと思います。
ITシステムやRPAが日々進化し続けているとはいえ、それを制御しマネジメントするのがヒトであることは変わりません。
例を挙げますと、先だってRPAに仕事の多くを任せることに成功した企業であっても、やはり人間の手を完全に離れて仕事をさせるのはまだまだ難しく、IT部門や導入部門にロボットを管理する担当者を設置しているケースがほとんどです。
そしてもうひとつは「データ解析と打ち手の策定」の仕事ではないでしょうか。
そもそもデータ入力の必要性は、そうやって集計されたデータを元に今後の打ち手を見つけることにあります。入力作業をロボットが代行することにより、本来の目的(=データの解析と対策の検討)に優秀な人材を投入することができます。
営業活動を例に考えてみます。
営業日報や数値管理が自動化されることで、より細かく活動データが蓄積されることになります。これによって営業担当者ごとに活動の傾向を掴むことができますが、「傾向から示唆を得て 打ち手に変える」取り組みはヒトが担うことになるでしょう。
まとめ
今回は「ヒトとロボットが担う、それぞれの役割」について考察しました。
今後さらに自動化が進むにつれて、数年先に必要とされるスキル・知識を学んでおくこと。そして日々学ぼうとする姿勢こそ、ヒトにしか出来ない行動の一つのなのかもしれませんね。
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