この打合せ…意味ある?会議のムダを減らすファシリテーション術

今回は、“会議のムダ”を減らすファシリテーション術がテーマです。

 

突然ですが、こんな会議に参加してしまった経験はありませんか?

  • ・・・で、今日は何の話でしたっけ(苦笑)」
  • 「あ、時間30分もオーバーしてるね。じゃあこの続きは次のミーティングで・・・」
  • 「今日は白熱した会議でしたね!(主催者がひとりで喋っただけ)」

そうです。この打合せ意味ある?状態です。なんやねん!この時間は?です。

…とはいえ怒っているだけでは何も変わりません。

 

そこで今回は、良き主催者は、良き参加者としてもうまく振る舞えるはず、と言う考え方のもと主宰者目線での「ムダな会議、打合せを開催しない方法(ファシリテーション術)」について考えていきたいと思います。

効率的で価値のある会議運営に興味のある方はぜひ参考にしてください。

  • 会議を良くするためのポイントを知る
  • 生産的なミーティングを組立てる方法がわかる
  • 「会議前・会議中・会議後」のちょっとしたTips(コツ)とは

会議のムダを減らすファシリテーション術

会議・打合せを価値あるものに出来るかどうか?は、主催者の力量にかかっている、と言っても過言ではありません。

中には「およそ常人には理解しがたい持論を展開しつづけ、会議の進行を妨げるような会議の参加者」のせいで会議が紛糾することもあるでしょうが、そんなことはごくごく稀です。

 

現実問題として冒頭に挙げた会議例のように、主催者・ファシリテーターがポイントを押さえていない、惰性で会議を開催していたのが原因で、ムダな会議になってしまったケースが大半ではないでしょうか?

「ムダな会議に参加してしまう」をゼロにするのは難しいとしても、「ムダな会議を開催してしまった」を限りなくゼロにするのは努力次第で実現できる、ということです。

 

そこで、会議の主催者として”会議のムダ”を減らすためのポイントとして

  • 会議の開催前:事前準備
  • 会議の開催中:ファシリテーション
  • 会議の終了後:フォローと根回し

について、筆者が実際に考えているTips(コツ)を解説していきたいと思います。

 

会議の事前準備、押さえるべき3つのポイント

今回のテーマでもある「会議」に限った話ではありませんが、事前準備のクオリティは「結果の質」に大きく影響します。

私の尊敬している社会人時代の上司も「準備8割、アドリブ2割」とよく教えてくれました。

 

特に、打合せ開催前の準備として次の3つは必ず抑えておきたいポイントです。

  • なぜやるか?(背景・目的、アウトプット)
  • 参加者(特にキーマン)のスケジュール調整
  • 進行状況のイメージ共有

それぞれどういった意味があるのでしょうか?さっそく解説していきます。

 

なぜわざわざ会議を開催するのか?会議開催の目的を定める

まずは会議を開催する目的を定めるところから。

この「目的」を言い換えると、プロジェクトメンバーに周知したいことがあるのか、発生したトラブル対応のためにまずはみんなで意見を出し合いたいのか?それともその場で対応を決めたいのか?など、会議・打合せを通して、そもそもどのような結果を得たいか?ですね。

 

会議を開催する目的が定まることで、おのずと会議のアジェンダを組立てられるようになります。なぜなら、会議終了後に得たい結果のために、伝えるべき情報・討議すべきポイントなどを逆算して考えられるからですね。

 

《例》会議の目的から逆算してアジェンダを組立てる。

■会議開催の目的

発注先の請求漏れにより、今月の支払いがXX万円増加してしまった。過去の経緯、および追加で支払いが必要な額を部長に報告し、支払いについて部長の承認を得る。
↓ 部長から承認を得るには…

  • 発注漏れが発生した経緯説明が必要
  • 追加で支払いが必要な金額の整理が必要
  • 支払いを管理する財務部門との合意形成が必要
  • 財務部門との合意形成の結果について部長説明が必要

↓ アジェンダ化すると…

■アジェンダ

  • 発注先の請求漏れが発生した経緯
  • 追加支払いが必要な金額、財務部との合意について

というイメージです。

 

また、このように事前にアジェンダを組立てておくことは会議の時間管理にも繋がってきます。

説明にX分、質疑対応にX分、合意形成のための議論にX分、今後の対応検討にX分…といった形でカンタンに脳内シミュレーションを行うことで、会議の開催時間を見積もることができるからです。

 

目的を達成するために、重要な人物を特定する

参加者の予定、特にキーパーソンの会議後の予定を把握しておくことも同じくらい重要になります。

ここでのポイントは「途中退席予定のある人物をキーパーソンとして会議を組立てない」というところ。

↑で挙げた例で部長の予定を無視して会議を組立てる人はいないと思います(いない…ハズ…)が、財務部門メンバーの予定を調整できない方は意外といらっしゃいます。

※先述のアジェンダを元に考えるなら、財務部門との合意形成なしに部長の承認は得られません。

 

さて、具体的にキーパーソンを特定するためのポイントとして

  • 判断を下す権限をもつ役職者か?
  • または役職者に意見し、判断を迫ることができる人物か?
  • より深く事情を知っている人物(当事者)か?

と言った点に目を配る必要があります。

もちろん、これに該当すれば100%キーパーソンだ!というものはありませんので、ここは個々人が経験を積みながら勘所を磨いていく必要があると領域だと思います。

 

事前の情報共有で、より密度の高い会議をつくる

参加メンバーの時間を確保して開催する会議は、どこまで言っても「仕事を進める上でのプロセス」であり、アウトプット(結論)を出してこそ会議の時間を価値ある時間にすることができます。

そのための準備の一環として、事前に「確認しておいて欲しいデータ・情報」などを共有するのも会議の質を上げる上で有効です。

 

参加者のリテラシーに依存するところもあり参考程度で考えて欲しいのですが、うまくいけば会議冒頭の資料説明を省き、いきなり議論の本題に入ることができます。

議論の時間を相対的に増やすことで、会議をより密度の高い時間にするのが”ねらい”というわけですね。

 

※営業の進捗会議など、いわゆる定例会議では必須の考え方だと思います。毎回情報のインプットから始めるのは時間がもったいないですね。

【関連記事】The Modelを採用した営業チームが進捗会議で議論すべきテーマとは

 

会議をどのように”まわしていく”か?

十分な準備を終えて、会議の当日、主催者であるあなたは「ファシリテーター(司会者)」の役割も担うことになっています。

ここでは会議中に意識すべき内容を掘り下げて考えていきましょう。もちろん一人で無理ならサポートについてもらうのも一つです。

実際に筆者が考えているポイントとしては

  • 会議の”目的”とを伝える
  • 発言を引き出す雰囲気づくり
  • 会議の進行状況に関するイメージ共有
  • クロージングで次のアクションを整理する

と言ったものがあります。

 

アジェンダ・目的の共有と雰囲気作り

最初にすべきは、(1)アジェンダに沿って会議の目的とゴールを共通認識にすることと、(2)発言しやすい雰囲気づくりです。

Googleの調査でその価値が認められた「心理的安全性(psychological safety)と言う考え方にあるように、各メンバーが自分の意見・アイディアを澱みなく発言できるような雰囲気づくりは会議の質を上げる上でも意味があります。

主催者(これを読んで頂いているあなたですね)としてカンタンな質問を参加メンバーに答えてもらうなど、発言自体のハードルを下げるのが有効です。

もし会議をサポートしてくれるメンバーがいるのであれば、最初の発言をお願いするのも有効だったりします。誰でも一番最初に発言するのには少なからず覚悟が要りますからね。

 

合意形成のために参加者の脳内イメージを共通化する

また、会議の進行中は全員が抱えるイメージを共有する工夫が必要です。

対面開催の会議であればホワイトボードを活用するのが理想ですが、リモート会議が増えている昨今であればパワーポイントの資料を投影しながらイメージを共有するなどすると良いでしょう。

参加者全員が同じイメージを持ち、腑に落とし、次に何をすべきか?まで落とし込めるのが理想的な会議だとして、主催者が理解したら次、納得したら次…のような独りよがりの進行では、チームとしての効果を最大化するのが難しくなります。

全員の意見を確認(合意をとりながら)、決定事項へ導いていきましょう。

 

クロージングの有無は会議の品質を底上げする

会議の残り時間が全体の8パーセント程度になったら、ミーティングをクロージングに向かわせましょう。

よくある生放送の討論番組では、放送時間ギリギリまで討論の時間を設けたりしていますが、あれは良くない事例だと心得ましょう。

雑に言うと、討論番組の目的は討論自体をおもしろおかしくしてアテンションを引くのがねらいです。一方で私たちが開催する会議は、仕事を進めて成果を上げることが目的です。根本的に目指すところが違うのです。

 

具体的には、当初掲げた会議の目的の再認識、そして決定事項および持ち越し事項のおさらいが必要です。

議論が白熱し、さらに仕事を進める上で十分な落とし所が見つからなかった場合、日を改めて次回に持ち越す必要があるケースもあるでしょう。

このクロージングのタイミングで「次回開催予定日」と「残課題」(=どのテーマについて討議すれば目的を達成できるか)まで整理できればベストですが、その場での論点整理が難しい場合は会議後のフォローで周知する方法を取りましょう。

 

会議終了後のフォローで確実に成果を上げる

適度な緊張感の中、活発な議論が展開されました。実りある会議となり、同僚や上司の反応も上々のようです。一部、残ったタスクはあるものの十分に合意形成ができました…

確実に成果につなげるための最後のステップとして、打ち合わせの議事メモを共有します。これは可能な限り早く(遅くとも24時間以内)取りまとめて共有するのが望ましいと考えています。

100点満点の議事メモを数日かけて完成させるより、60点の議事メモを即時送付する方が何倍も価値があります。

 

※議事メモには何を書いておけばいいの?という方へ。

■【関連記事】仕事を停滞させないために、”議事メモ”に書いておくべきこと

 

「鉄は熱いうちに打て」とはよく言ったもので、細かなニュアンスを含め記憶が新しいうちに議事メモの形で残しておけば、参加メンバーも動きやすくなります。

また、議事メモは決定をよく思っていない参加者に「そんな議論は知らない」と言わせないためのリスクヘッジの役割を果たすケースもあります。

 

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