Googleのアプリ開発環境:Firebaseとは?”小さく始めて大きく育てる”に最適!
今日のテーマは「Googleのアプリ開発環境:Firebase」についてです。
特にWEBサービス・アプリのプロダクトマネージャー(PdM)の方、 個人・小規模チームでアプリ開発をされている方は参考にしていただけると思います。
※Firebase初学者の方へ向けた入門編な内容です。
入門編とはいえ、かなりのボリューム(約 6000 文字!)になってしまいました…目次のページリンクから必要な情報にアクセスしてみてください!
- Firebaseとは?その概要・大枠を理解できる
- Firebaseを使うと何が嬉しい?Firebaseの活用メリット
- 具体的なFirebaseの機能について知る
- どこまで無料で利用できる?Firebaseの料金体系とは
Firebaseなら、快適&安定稼働アプリが神速開発できる
そもそもの話ですが、Firebaseって何? なのでしょうか。Firebaseの公式サイトのメッセージを見てみます。
Firebaseとは、ユーザーに愛されるアプリやゲームの構築と拡大を支援するアプリ開発プラットフォームです。Google のインフラが支える、世界中の多くの企業から高い信頼を得ているサービスです。
とのこと。シンプルにお伝えすると アプリ開発環境がサービスとして提供されているクラウド環境で、いわゆるPaaS(Platform as a Service)にあたるサービスです。
FirebaseでのWEBサービス開発をオススメする理由3選
次に「Firebaseを使うと何が嬉しい?=活用するメリットは?」という点について考えてみましょう。
冒頭でお伝えした通り、 Firebaseは” PaaS “にあたるサービスなので、いわゆる「クラウド活用のメリット」と共通する部分が多くあります。
とくに他社の類似サービスと比較した際の差別化ポイントとしては「Googleの関連サービスとの親和性」といったところでしょうか。
メリット1.「アプリ開発」「コンテンツ作成」に注力できる
もしあなたが、ゼロからアプリ開発・公開を目指すとなると、事前に要件定義〜サーバーハードウェアを調達・設置〜ソフトウエア開発環境をインストールしたり・・・と、初期投資とリードタイム(時間)が必要になります。
- 繁忙期で何人くらい利用しそう?
- サーバーはどこから仕入れる?納期は?
- 設置場所はどこ?誰が設置作業?電源の容量は?
などなど… あなたは「ただアプリを開発してリリースしたいだけ」なのに、リリースするまでに考えるべきことがあまりにも多すぎたわけです。
・・・ここにFirebaseを利用する”価値”があります。
無料から始められるFirebaseを利用することで、「初期費用なし」で、早ければ数日のリードタイムでアプリ開発環境を手に入れることができます。
つまりザックリした言い方をしてしまうと、インフラ〜バックエンドの部分をFirebseに丸投げできる、というワケです。これによって、あなたは「アプリ開発」や「コンテンツ作成」といった作業に注力することができます。
メリット2.小さく初めて、大きく育てられる「柔軟な拡張性」
Firebaseは「初期費用なしのシンプルな構成で始められる」だけでなく、数十億人規模が利用するサービスへの拡張性も大きな強みとなっています。
※実際に公式サイトでも、GoogleMap やYouTubeなどと同じインフラ環境であることを売りにしています。
もちろんキャンペーン開催時など繁忙期にあわせて拡張することもできます。
たとえば個人や小規模チームで開発を始めたアプリでも、Firebase 環境を利用することで、急なバズり・ユーザー数の急増にも十分に対応できる、というわけです。
メリット3.Google Cloud との相性がよい
チーム内のコミュニケーション基盤にGoogle Workspaceを利用しているなら、Firebaseをより便利に活用することができます。
というのもFirebaseはGoogle Cloudと共通のインフラ環境を持っているため、
- Cloud Firestore / Cloud Functions / Cloud Storageとの連携
- 開発プロジェクト・ユーザ権限設定を利用できる
- 支払いプロファイルも共有できる
といったメリットが受けられます。
つまり、必要に応じてGoogleCloudで提供されている機能をFirebaseでも利用しやすい、というワケですね。
■Firebase とGoogle Cloud(外部リンク)
Firebaseで利用できる機能と特徴
では、具体的に「Firebaseで利用できる機能」とはどういったものがあるのでしょうか。
Firebaseは毎年のように便利な機能が追加されているため、全てを網羅した形でのご紹介は公式サイト(https://firebase.google.com/)に譲りたいと思いますが、
ここでは、ざっくり以下のような3つのテーマに分け、PdM・開発者側の視点でよく利用されるFirebaseの機能をご紹介したいと思います。
- 1.サービスの構築と運用
- 2.アプリのパフォーマンス・顧客動向のモニタリング
- 3.ユーザーとの関係強化(エンゲージメント)
特徴1.サービスの構築と運用
まず最初に「サービスの構築と運用」という視点から掘り下げていきます。
しつこいようですが、Firebaseは「アプリやゲームの構築、成長に合わせた拡大」に強みを持つサービスです。アプリ・サービス開発にほぼ必須とも言える
- リアルタイム・低遅延のデータベース
- ファイル保存
- 拡張機能パッケージの追加
といった機能はもちろん、ローンチマーケティングやリリース後の広告戦略を見据えた
- サービス紹介サイト・ランディングページの公開
といった機能を利用することができます。
データベース機能(Realtime Database)
Firebaseが提供するデータベース機能: Realtime Databaseの一番の特徴は、リアルタイムで同期が可能という点です。
さらに、クライアントがアクセスしたデータをキャッシュに保存することで、データの取得を高速化します。
つまり、アプリユーザーの接続が不安定で接続が切れても(オフラインとなっても)、Firebaseはキャッシュからデータを取り出す形でユーザーに表示することができ、地下鉄などの「電波が不安定な場所からのアプリを利用しても、快適に利用できる」というユーザー体験を提供できます。
ファイル保存・ストレージ(Cloud Strage)
Cloud Storageは、Firebace上のデータ保管環境(=ストレージ)です。
アプリ上でユーザーが作成した、写真や動画などのコンテンツを迅速かつ簡単に保管したり、アクセスできるように設計されています。
これも先述したように、アプリの利用者が爆増した場合でも問題なく対応できる拡張性を持っています。
※公式いわく「Spotify」や「Googleフォト」もFirebase Cloud Strageを採用しているとのこと。
拡張機能パッケージの追加(Extensions)
Firebase Extensionsでは、いわゆる「サービス開発でよく使う機能」がパッケージ化されて提供されており、追加の機能開発にかかるコストを削減できます。
一例を挙げると・・・
- 「テキストの翻訳機能」 ⇒ 多言語対応がカンタンに!
- 「認証機能」 ⇒ 会員制サービスの開発がカンタンに!
- 「請求書送付機能」 ⇒ 法人向けサービスとして実装!
といったものがあります。
全くのゼロから機能を開発する場合と比較しても、時間的・金銭的コストと労力を減らすことができますね。
サービス紹介サイト・ランディングページの公開(Hosting)
当然ですが、アプリは開発しただけでは誰にも使ってもらえません。アプリで収益化を目指すにはユーザーたちに広く知ってもらう必要があります。
Firebase Hostingを利用すると、無料で独自ドメイン・常時SSL化・URLの正規化されたWEBサイトを公開することができます。
開発したサービスの紹介サイト・ランディングページや、企業のコーポレートサイトをFirebaseでホスティングすることで、マーケティング活動を加速させることができます。
特徴2.パフォーマンス・顧客動向のモニタリング
次に「パフォーマンス・顧客動向のモニタリング」という切り口で考えます。
アプリをリリースして広告を打つだけで、アプリ・サービスの利用者が拡大していくとは考えにくく、実際の運用ではアプリストアでの口コミを元に機能を追加したり、実際のユーザー動向を分析してUI/UX・アプリのパフォーマンスを改善し続ける必要があります。
ここでは、こういったサービス改善に役立つFirebaseの機能、
- ユーザー動向の分析
- アプリのパフォーマンス分析
の2つについてご紹介したいと思います。
ユーザー動向分析(Googleアナリティクス)
Google アナリティクスで収集できるユーザー動向をもとに、アプリ・サービスの導線やUI/UX で改善すべきポイントの示唆を得ることができます。
Firebase 向けに提供されている Google アナリティクスでは、最大で 500 種類のイベントに関するレポートを無制限に生成でき、KPIとして定義した独自の指標を測定することもできます。(もちろん無料で!)。
アプリのパフォーマンス分析(Performance Monitoring)
アプリ自体の直接的なパフォーマンス管理・モニタリングには「Firebase Performance Monitoring」が活躍します。
アプリ自体の動作速度・応答性の速さなど…アプリ自体の品質とも言えるパフォーマンスをモニタリングすることができる機能です。
またPerformance Monitoring にも独自のKPIを測定・把握する機能があり、効率的にユーザの離脱につながっている真因を特定し、対策することができます。
特徴3.ユーザーとの関係を強化してファンを増やす
そして3つ目が「ユーザーとの関係を強化してファンを増やす」のにに役立つ機能について。
- アプリ体験・キャンペーン効果を最適化
- ターゲティングされたプッシュ通知でリピート利用を増やす
といったことが可能になります。
複数デザインのA/Bテスト(A/B Testing)
A/B Testingを活用することで、テストを通して効果を最適化することができます。
アプリのUI設計やコピーライティングにおいて、正解を持っているのは製作者ではなく”ユーザー:アプリの利用者”です。
もちろん事前に定義した仮説をもとに「効果の高い広告コピー、より離脱の少ないUI/UXはどちらなのか?」を検討することは大事ですが、いち早くABテストで検証して、効果の高い方を採用するのがデジタル時代の最適解です。
ターゲティングされたプッシュ通知(Cloud Messaging)
この記事を書きながら昼の12:00を回った頃、私のiPhoneに UberEatsから通知が届きました。
そうです、いわゆるアプリのプッシュ通知の機能です。
Cloude Messagingの機能では、アプリの利用者全員への配信はもちろん、年齢層や性別などのユーザー属性や事前に決めておいたセグメントに絞ってプッシュ通知を配信することもできます。
昼どきや夕食の時間が近づくと Uber Eatsからプッシュ通知が来るように、あなたのアプリの利用者に最適なタイミングでキャンペーン情報を伝えましょう。
Firebaseの料金体系(無料枠アリ)
気になる料金ですが、Firebaseは無料で始めることができ、またその利用規模に応じた従量課金制を採用しています。(2022年11月現在)
- Sparkプラン:無料
- Blazeプラン:従量課金
大規模なアプリ開発を前提に検討中の方は、シミュレーター(https://firebase.google.com/pricing#blaze-calculator)で概算で費用を見積もることもできます。
気になるFirebaseの無料枠について
みんな気になる「無料でどこまで使えんの?」という話ですが、シンプルなサイトのホスティングであれば
- ファイルの保存
- ダウンロード
がそれぞれ10GB/月まで無料で利用できます。
↑ の画像は弊社で利用しているFirebaseの管理画面ですが、会社のホームページやサービスサイト、ランディングページ(LP)程度なら、問題なく無料枠の範囲で利用できています。
ちなみに弊社のコーポレートサイト(nonet-inc.co.jp)も、つい最近になってFirebase上に移行しました。
まとめ
今回は「Googleのアプリ開発環境:Firebase」をご紹介しました。
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