サブスク型モデルへの方針転換|有名企業3社が挑んだサブスク化の事例
前回記事 でもお伝えした通り、サブスクリプション(サブスク)方式で提供されるビジネスは、ユーザーが定額料金を支払うことで「サービス利用し放題!」となる点にメリットがあります。
その手軽さやお得感が多くのユーザーに受け入れられ、これからの成長が大いに期待できるビジネスモデルのひとつだと推測されますが、「サブスク化することが絶対に正しい!」とはならないのがビジネス・事業運営の難しさです。
そこで今回は「起業を検討中」「事業の多角化を検討している」という方に向けて、サブスク型ビジネスの3つ事例を解説していきたいと思います。
似たような悩みをお持ちの方、興味のある方はぜひ参考にしてみてください。
- サブスク型ビジネスの3事例、その概要を知る
サブスクの事例1:Adobe Creative Cloud
まずは、サブスク型のビジネスモデルに大きく舵をきり、成功を収めた事例からご紹介しましょう。
「Photoshop」「Illustrator」「Premier Pro」などデザイン系ソフトウェアを提供する企業として有名なアドビが、サブスク型のビジネスモデルで「Adobe Creative Cloud」の提供を始めたのが2011年です。
当初は従来のパッケージ版との併用でしたが、徐々にサブスク型の割合が増え、ほぼ移行を終えている状況となっています。
サブスク型モデルへ方針転換の背景
アドビ社がサブスク型モデルへの方針転換をめざした背景として、スマホが普及した影響により、イノベーション(技術革新)のスピードが早まったことが挙げられます。
「パッケージ版のみの提供を続けていては、イノベーションのスピードと製品販売のサイクルが合致しなくなる」という危機感があったようです。
当時、サブスク型への移行は、従来の方法に慣れ親しんだユーザーからの反対も大きなものがありましたが「ソフトウエアのバージョンアップのスピードが向上し、最新の機能をいち早く利用できる」といったメリットを積極的に発信し、ユーザーに理解を求めました。
また、クラウド経由のサービスとなったことで、スマホやタブレットへのアプリ提供が容易になり、外出先ではスマホ、職場ではPCといったアドビの新しい使い方を提案できたのです。
アドビがサブスク型への移行を進めていくと、ユーザー数が大幅に増加しました。
アドビの提案はユーザーに受け入れられたのです。
その後も顧客目線の経営方針は徹底され、アドビのサイトを訪問したユーザー情報を記録して分析できるDDOMを導入し、ユーザーのニーズを正確に把握しようと努めています。
自社製品の優位性を保つ決断をしただけに留まらず、顧客目線でユーザーに理解を求める姿勢を貫いたことが、アドビの成功につながったのでしょう。
サブスクの事例2:Microsoft Office製品
MicrosoftのOffice製品においても、サブスク型ビジネスモデルへの切り替えが進んでいます。
その代表となるのが、同社の主力製品のひとつで2020年に「Office 365」から名称が変更された「Microsoft 365」です。
Office 365は、法人向けと個人向けで製品を分けており、それぞれのシーンで無駄なく利用できるような配慮がされていました。
当然、それは現在のMicrosoft 365にも引き継がれており、個人向けの「Personal」プランに加えて、ビジネス向けの「Basic」や「Standard」、「Premium」プランなどを利用することができます。
このように、ユーザーの用途に合ったプラン提供が強みとなっているのは言うまでもありません。
「ソフトウェア x サブスク」の好相性が普及を後押し
サブスク型ビジネスモデルで提供されるサービスは、「常に最新版が利用できる」というのがメリットです。
Office 365にも、メールやスケジュール、ビジネスチャットなどさまざまな機能が搭載されており、それらを最新の状態で使うことができました。
また、Office 365のビジネス向けプランは、1ユーザーが最大15台のデバイスにソフトウエアをインストールすることができ、ストレージも付いていることから、PCやタブレット、スマホを自由に使って、場所を選ばずに作業を始めることができたのです。
Office 365を導入する企業としても、パッケージ版の購入は初期投資や買い替え費用がかさみます。サブスク型は月額の支払いも可能なため、コスト面での優位性もありました。
Microsoft製品を利用していたユーザーにストレスを与えない形で、従来よりも機能面やコスト面でより良い提案ができたことが、Office 365が広く受け入れられたポイントでしょう。
■【参考】パッケージ版Officeをサブスクリブション制に ※外部リンク
サブスクの事例3:焼肉レストラン
外食チェーン大手レインズインターナショナルは、焼き肉レストラン「牛角」において、飲食業のサブスク型のビジネスモデルに挑戦した企業として知られています。
2019年11月にサービスを開始した「焼肉食べ放題PASS」は、1万1000円を支払えば、通常料金3480円の牛角コースを1カ月間利用できるサービスでした。
年明けの2020年1月頃からSNS上で大きな話題になり、PASSが利用できる3店舗に顧客が殺到しました。
その結果、予約で連日席が埋まってしまう状況が続いたことから、牛角はPASSの新規販売を終了。翌月以降、顧客がパスを更新するのも停止せざるを得ない状況に陥ったようです。
「飲食 x サブスク」のチャレンジは続く
牛角は同年3月、新規販売を終了していたサブスクビジネスを再開しました。
しかし、食べ放題を廃止し、料理プランも7種類に限定、利用時間にも制限を加えるなど、規模を縮小する形での再挑戦となっているようです。
サブスク型ビジネスモデルに参入した外食産業の中で、牛角は知名度が高く、注目を集めていました。
顧客が多く来すぎて対応できなくなるというのは、それだけニーズがある証拠です。牛角の挑戦を見て、これをビジネスチャンスととらえることも出来ると思います。
しかし、業種や店舗ごとにサブスク型ビジネスの在り方をしっかりとシミュレーションしないと、安定した売り上げ向上は見込めないことが明らかになった、とも考えられるのではないでしょうか。
■【関連記事】サブスク・継続課金モデルが 中小企業の経営者に注目されている理由
まとめ
サブスク型のビジネスは、衣食住を中心とした私たちの生活全般に渡って展開できる可能性があります。
将来性があることで新規参入が増えているため、これから起業しようとする人は明確なビジネスモデルを持つことが重要です。
ユーザーのニーズに合致したサービスを提案し、常にサービスの改善を行っていくことが必要となります。
やはり顧客目線(ユーザファースト)の考え方に重きをおいて、ユーザーに継続して利用してもらうことがカギを握っているのは間違いなさそうですね。
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