損益計算書(PL)で会社の利益を把握する|管理職・経営者が理解すべき理由とは

今回のテーマは、財務三表のひとつである「損益計算書」についてです。

 

以前の記事 でもお伝えしたように、損益計算書(PL)は会社経営・管理会計において欠かすことの出来ない重要な帳簿です。

とはいうものの、

  • そもそも損益計算書ってなに?
  • 損益計算書を理解すると何がうれしいの?

と疑問に感じられる若手経営者の方も多いのではないでしょうか。

 

そこで今回は「損益計算書ってそもそも何?」「損益計算書を理解すべき理由?」といった基本的なポイントと合わせて「損益計算書で何がわかるのか?」「経営者なら知っておきたい、特に重要な指標」などについても解説していきます。

 

「決算書の勉強を始めたばかり…」というスモビジ経営者の方には参考にしていただけると思います

  • 損益計算書とは?概要を理解する
  • 具体的な構成要素、読み解くことで何がわかる?を知る

損益計算書で「一年間であげた会社の利益」がわかる

損益計算書とは?シンプルにお伝えするなら「会社の利益を確認する表」と言えます。

経営者にとって「自分の会社が儲かっているのかどうか」は一番気になるところではないでしょうか。

果たして自分の会社は今赤字なのか、黒字なのかー。それを一目で確認できる表が「損益計算書」とイメージ頂ければと思います。

損益計算書をもとに経営者が判断すべきことは、

  • このままの利益(または損失)でいいのか?
  • 何か対応を変えるべきか?

を考え、対策を打つことです。

つまり「経営における判断」を行うために、「現状の会社の経営成績」を確認するのが損益計算書の役割、ということですね。

 

損益計算書は英語で「Profit and Loss statement」と言います。略して「P/L(ピーエル)」とも呼ばれています。

 

損益計算書でわかること

さて、会社の利益を確認するためには、具体的にどのような要素に気をつけるべきなのでしょうか?

実際に損を構成する要素について考えてみましょう。損益計算書には、大きく分けて

  • 費用
  • 利益(損失)
  • 収益

という、3つの情報が含まれます。

「利益(損失)」には会社が儲かっていれば利益が、赤字であれば損失が表示されることになりますが、この記事では会社が儲かっている(=利益を上げている)ことを前提に話を進めていきます。

 

本業で稼いだ利益:「営業利益」

ざっくり説明すると、「会社に入ってきたお金(収益)」から「会社として使ったお金(費用)」を差し引いて残った金額が「会社の利益」です。

「会社に入ってきたお金」とはつまり”売上高”ですね。製品を売ったりサービスを提供したりして、お客様から受け取った対価が該当します。

 

この売上高から、売上原価-商品の製造や部品の仕入代金など、売った製品・サービスを作るために直接必要になったお金を差し引くことになります。

売上高 - 売上原価 = 売上総利益

この売上総利益から販売費および一般管理費-店舗の家賃やスタッフの人件費など、商売を行う上で支払ったお金(売上原価として支払ったものは除く)を引き、残った金額が「商売だけで稼いだ利益」-つまり、営業利益となるのです。

売上総利益 - 販売費および一般管理費 = 営業利益

 

経常利益・税引前当期純利益

会社としての「最終的な利益(当期純利益)」を確認するには、営業利益から差し引きすべき項目があります。

営業利益から、営業以外の理由で発生した収益(営業外収益)や費用(営業外費用)、また特別な理由で発生した利益(特別利益)や損失(特別損失)を差し引きます。

営業利益 + 営業外収益 - 営業外費用 = 経常利益

経常利益 + 特別利益 - 特別損失 = 税引前当期純利益

これらの中には、為替レートの差から発生した “為替差損益” や銀行預金により獲得した “受取利息” などが該当します。つまり「商売で稼いだ」とは言えないお金や「商売に関して支払った」とは言えないお金です。

 

最終的な利益:「当期純利益」

「この時点で残った金額が会社の利益なんじゃないの?もう引くものないよね?」と誤解してしまいがちですが、実はあと一つここから除かなければならないお金が残っています。

 

それは「これから支払うことになる税金(法人税等)」です。

税引前当期純利益 - 法人税等 = 当期純利益

ここで最終的に残った金額が、その会社全体の利益-当期純利益となります。損益計算書を確認すると、この「最終的な利益(当期純利益)」がいくらなのか一目でわかる。ということです。

 

 

損益計算書を理解しておくべき理由

損益計算書は、経理・財務担当者だけでなく経営や現場のマネジメントに関わる方も十分に理解しておくに越したことはありません。

ここからは、具体的な二つの理由について掘り下げて考えていきたいと思います。

 

赤字or黒字だけでなく、費用構造がわかる

損益計算書は、理解している人がみると赤字かどうかがすぐにわかります。会社の状態を大枠としいて掴む上で活躍してくれます。

また「売上げ原価」や「販売管理費」が、「経常利益」や「営業利益」に対して大きすぎることはないか?を掴むこともできます。

 

経営者である以上、自社の状態を把握する能力は身に付けておくべきでしょう。

 

「売上高総利益率」を確認するため

売上高総利益率とは、売上高の中に占める利益の割合のことを指します。売上高の中に利益が何パーセント含まれているのか確認するための数値です。

「粗利率」「粗利益率」とも呼ばれており、次の計算式で求めることができます。

売上高総利益率(%)=(売上総利益÷売上高)×100

 

「売上高総利益率」が高ければ高いほど、売上高に占める利益の割合が高いことがわかります。逆に低ければ低いほど、売上高の割に利益がないことがわかり、いわゆる「薄利」の状態であることがみてとれます。

 

「薄利多売」の商売を行っているのでしたら問題ありませんが、そうでない場合は売上高総利益率を上げるために対策を講じなければならなくなります。

 

このような判断をするため、経営者は損益計算書を理解できるべきなのです。

 

まとめ

会社を経営する者にとって、損益計算書は欠かすことの出来ない帳簿です。

「今儲かっているのか?」「損失はどのくらいか?」など、これを読むことで現在の会社の状況をいち早く把握することができます。

読み方に不安のある経営者の方は、この記事をきっかけに損益計算書への理解を深めてみてください。

 

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