【徹底解説】IoTを構成する技術要素|身体の機能に置き換えて考えてみよう
今回は「IoTの仕組み・IoTを構成する技術的な要素」についての解説です。
前回の【徹底解説】”IoTとは?”知識ゼロから学ぶ「モノのインターネット」では、IoTシステムの「概要」「活用のメリット」について、具体的な事例を交えつつご紹介しました。
IoTを活用メリットをお伝えしたことで、
- 自社の商品やサービスにもIoT実装を検討したい
- 新しい事業としてIoTに興味が出てきた
といった前向きな構想を膨らませた方もいらっしゃるかも知れません。
とはいえ、やはりアイディアを「サービス化・商品化する」ためには、IoTを技術的な視点から理解しておくことは必要不可欠ではないでしょうか?
そこで、今回は「IoTを本格的に検討されたい方」に向けて IoTの技術的要素について解説したいと思います。
IoT技術に興味のある方、似たような悩みをお持ちの方はぜひ参考にしてみてください。
■【関連記事】IoTの活用事例|「ロールスロイスは壊れない」の都市伝説も現実に?
- 一般的なIoTシステムの構成要素を知る
- 各構成要素の機能と役割について理解する
IoTシステムの基本的な構成図
“スマート家電/スマートホーム”や、産業機械の分野における”故障予知”など、近未来的なイメージがあるIoTシステム。
しかし、その仕組みは他の新技術の例に漏れず、IoTシステムもさまざまな既存技術の組合せによって構成されています。(右図をクリックで拡大できます。)
おおまかにデータ・価値の流れをご紹介しておきましょう。
まず「デバイス」で取得した情報が、携帯電話網などの「ネットワーク」を経由して「サーバー」に蓄積されます。
この蓄積された情報が「サーバー」と連携する”解析ソフト”などで分析され、導き出された最適な制御情報が「デバイス」にフィードバックされることで制御を行います。
また、デバイス自身が「ネットワーク」接続機能を持たない場合(後ほど詳しく解説)は、「ゲートウェイ」が”デバイス管理”、および”サーバへのデータ転送”の役割を担うことになる、というものです。
IoTシステムを構成する4つの技術要素
IoTシステムの技術要素(アーキテクチャ)について簡単にご説明しましたが、ご紹介した4つの要素は どのような役割を持っているのでしょうか?
- デバイス
- ゲートウェイ
- ネットワーク
- サーバー
ここからは各要素の「役割と機能」について掘り下げて解説していきたいと思います。
デバイス:データ収集とフィードバック
デバイスの機能は“データの収集”と”フィードバック”の2つに大きく分けられます。
まず「データ収集」は、その名の通り設置された環境のデータ・情報の収集を行うことになります。
例を挙げると、デバイスに実装されている温度・明るさ・モーションセンサなどの「各種センサー」モジュールが、現実世界のさまざまな情報を収集します。
人間の身体で例えると、目や鼻、耳など五感に相当するイメージでしょうか。
そして、もう一つの機能である「フィードバック」は、デバイスの「アクチュエータ」(駆動部)モジュールによって行われます。
身近な例として、最近のエアコンに実装されている「温度の自動調節機能」を考えてみましょう。
この機能は「温度センサー」によって室温のデータを収集し、”サーバー”(後述)に情報を蓄積するところから始まります。サーバ上に集められた情報をソフトウェアで解析し、最適化された制御信号が「アクチュエータ」にフィードバックされることによって、「温度の自動調節」が実現されています。
“ゲートウェイ”が必要なケース
デバイスの「ネットワークへの接続機能の有無」によって構成が変わる点にも注意が必要です。
デバイス自身にネットワーク接続機能が実装されておらず、直接インターネットへ接続する機能を持たない場合、後ほどご紹介する”ゲートウェイ”を通して通信を行います。
最近では家電製品にもIoTの仕組みが使われていますが、家電やセンサー自体はインターネット通信機能を持たず、その多くが「ネット接続機能を持たないデバイス」に相当します。
そのためWi-Fiルータやホームハブと呼ばれる「ゲートウェイ装置」がデータを中継する形でネットワークへ接続しています。
■【関連記事】スマートホームを支えているのも”IoTの技術”
デバイスの数が増えていくほど “費用” がかさんだり、”物理的な設置スペース” が不足してしまいます。そのため可能な限りコスト・大きさを抑えることで、センサデバイスを増やしやすくなるというわけです。
ゲートウェイ:データ中継とデバイス制御
「ゲートウェイ」は、IoTの技術要素の中でも “インターネットへのデータ中継”、および”デバイスの制御・管理”という役割を担っています。
先ほどあげたように、”インターネットへの接続機能を持たないデバイスたち”は「ゲートウェイ」がインターネットへのデータを中継します。これが一つ目の役割です。
もうひとつの役割「デバイスの制御・管理」について。この役割の”ねらい”のひとつに「通信コストの削減」があります。
その背景としては「設置されるセンサデバイスの増加」「リアルタイム可動状況把握のために通信頻度の増加」による通信量・通信コストが増え続ける、と言った課題がありました。
これを防ぐため、これまでサーバー側で行ってきた処理の一部がゲートウェイに移管されつつある、というものです。
特にここ数年は”エッジコンピューティング”という考え方をもとに「通信コストの削減」「高いセキュリティの実装」が実現されつつあります。
ネットワーク:データの転送
「ネットワーク」は、デバイス・サーバー間の”データ転送経路”の役割を担っています。
人間の身体で例えると、神経に相当するイメージだと思います。
身近なところで言うと、Wi-fiや携帯キャリアの通信網が挙げられるでしょう。
参考までに、携帯キャリアの通信網を利用されたい場合、各キャリアから「IoTに特化したプラン」が提供されています。
ご興味のある方は各社WEBサイトのIoT特設ページをご確認ください。
■【参考】IoT プラン NTTdocomo ※外部リンク
■【参考】KDDI IoT通信サービス ※外部リンク
■【参考】SoftbankのIoTサービス ※外部リンク
サーバー:データの蓄積、管理・分析
デバイスのデータを蓄積し、管理・分析を行うのが「サーバー」の機能です。
人間の身体で例えると、記憶や指示を司る意味でも「脳」がイメージに近いと思います。
このサーバーとアプリケーションとの連携によって、IoTの特徴とも言える”提供価値”が実現されることになります。
具体的には、管理画面にアクセスし 取得したデータを参照することで、マシンの稼働状況をリアルタイムかつ正確に把握することができます。
ほかにも収集したデータを分析することで故障の前兆をもとにマシンの故障を予知したり、稼働状況と生産目標を照らし合わせ、機械を自動で制御する。といった機能が実現されつつあります。
収集されるデータが非常に膨大な量となるため、この分析には「AI/機械学習」といった技術のさらなる活躍が期待されています。
まとめ
今回は「”IoTシステム”をカタチづくる構成要素」というテーマで、技術的な構成要素について解説しました。
IoTはビッグデータやAIなどといったテック系キーワードとも、非常に高い親和性があります。今後さらに研究開発や低コスト化が進むことで、私たちの身近な商品・サービスにもIoTシステムが実装されていくことでしょう。
人間は経験や歴史から学び、機械は膨大なデータから学びます。
今回の記事が「参考になった!」という方は、ぜひ他の関連記事から気になる情報を探してみてください。
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