コンセプチュアルスキルとは?|話が細かい人 と 具体策のない人 から考えてみた

新しい部下とのコミュニケーションにお悩みのマネージャー職のあなたへ。

 

突然ですが、こんな悩みはありませんか?

  • 部下の話がフワフワし過ぎていて全然理解できない…
  • 1分で出来る内容を、30分かけて報告されるで仕事が進まない…

異動の季節から数ヶ月したころ、特にマネジメント職の方が直面しがちな悩みかも知れません。

今日はコミュニケーションにまつわる悩み解決のキーワードとして“具体化・抽象化”のスキル、「コンセプチュアルスキル」について考えていきたいと思います。

 

部下を持つマネジメント職の方だけでなく、似たような悩みをお持ちの方はぜひ参考にしてください。

  • 具体化・概念化とは何?が理解できる
  • それぞれを繋ぐキーワードとその考え方を習得できる
  • 改善ポイントから、お互いが寄り添うきっかけをイメージできる



コンセプチュアルスキル:概念化・抽象化のスキル

1955年、ハーバード大学の教授であるロバート・カッツ氏は「マネージャーに必要な能力」として”3つのスキル”を提唱しました。

今回のテーマでもある「概念化(抽象化)のスキル:コンセプチュアルスキル」はそこで提唱されているスキルの一つです。

概念化の考え方、アプローチは非常に奥が深く、文字数の都合上ここで多くはお伝えしませんが、この記事ではシンプルに「さまざまな事象に共通点や原理原則を見つけだし、抽象的に捉えるスキル」としてコンセプチュアルスキルを考えています。

 

残りの2つは「テクニカルスキル」「ヒューマンスキル」が挙げられています。

 

相互理解のために「粒度(りゅうど)」を理解しよう

「相手の立場に立って発言する」は「相手が理解できる粒度(=ツブ感)で話す」とも言い換えられるかも知れない

「抽象的に物事をとらえる(コンセプチュアルな思考)」の対義的な言葉が「具体的に」と考えると、これらの一見相反する考えを繋ぐのは「粒度(りゅうど)」がポイントです。

 

ここでいう粒度とは「話をどれだけ細かく、またはどれだけ大まかに伝えるかという度合い」のことです。

例を挙げると、経験の少ないメンバーに新しい仕事を指示する場面など、詳細な情報を提示しなければ、相手はどう行動すべきか迷ってしまいます。このケースでは粒度を細かく伝える必要があります。

一方で、全体の方向性やビジョンを伝えるときには、あまりに細かい説明はかえって分かりづらくなり、全体像を把握しづらくなることがあります。いくつかの施策・取組みをサマリ・抽象化して(つまり粒度を大きくして)伝えることを考えるべきでしょう。

 

コミュニケーション特性を知り、寄り添うコツを掴もう。

記事の前半では「具体化と抽象化」という考え方について、さらに寄り添うためのポイントとして「話の粒度」というキーワードをご紹介しました。

そしてここからは「話が細かい部下」「具体案のない上司」双方の特徴について掘り下げて考えていきたいと思います。ご自身やアノ人の考え方の傾向をイメージしながら理解を深めてみてください。

 

「話が細かい人」のコミュニケーション特性

「話が細かい」とされる方の特徴は、物事を要素に分解して考える能力が高い、とも言い換えられます。

これは考えてみると当然のことで、業務の内容が現場に近ければ近いほど交渉や折衝の場面などが増え、詳細を詰めていくスキルが求められるからです。

特に実務担当者レベルでは 大小様々な課題に直面しながら解決をはかることになります。そうなると細かな要素についても触れる機会が多くなります。

 

「具体案のない人」に寄り添うには?

一方で、先輩や上司からすると「話がまとまってない」と感じられてしまうケースもあるようです。なぜなら必要な要素を全て説明しようとするあまり、話のコアがぼやけてしまうからです。

これを避けるための考え方として「一言で言うとどうなるか?」「全体像はどうなっているか」を意識することで「捉え方の抽象度」を上げてみることをオススメします。

もちろん初めは「言葉足らず」になってしまうかと思いますが、日々トライ&エラーを重ねることで伝え方のスキルも磨かれていくことでしょう!

 

「具体案がない人」のコミュニケーション特性

Seeds4bizでは「問題解決スキル=全人類必須スキル」だと考えていますが、この問題解決という考え方も概念化のスキルを構成する要素のひとつです。

 

コンセプチュアルに長けた方の素晴らしいところは「事象を大枠で理解」する能力です。

物事を構成する要素の中から共通項を見つけ出し、因数分解を行うかのようにシンプルにまとめる(サマリする)ことができるからです。

 

マネージャーの中でもローワーマネジメント層(プロジェクトマネージャなどの監督者層)に比べ、トップマネジメント層(CxO、役員などの経営層)に近づくほどに このスキルが強く求められることになります。

 

みなさまは「エレベーターピッチ」という言葉をご存知でしょうか。エレベーターで移動するおよそ30秒〜1分程度の時間で、起業家が投資家にサービスを提案することに由来するプレゼン手法です。

エレベーターピッチにも様々なスキルが必要ではありますが「短い時間でコンセプトを理解してもらう」必要があることから、提案したサービスをサマリして伝える(=概念化)スキルが最も重要なスキルのひとつと言えるでしょう。

 

「話が細かい人」に寄り添うには?

抽象的な伝え方は本質を捉えているように聞こえますが「じゃあ次に何をすべき?」というレベルまでの解像度の高さに欠けてしまってりるケースもあります。

しかし、実は若手メンバー(特にそれが社会人経験の浅いメンバー)であるほど、求めている指示・アドバイスに具体性を求める傾向がある、というのは先ほどお伝えした通りです。

 

ここで監督者でもあるマネージャー職のあなたに出来ることは、「明確な行動レベルの指示」を与えること、と言えます。



コミュニケーションの目的は相手に”伝わる”こと

今回は立ち飲み居酒屋トークでありがち(?)な、若手社員と管理職のグチを参考に「コンセプチュアルスキル」についてご紹介しました。

 

およそ2500年以上前の中国の思想家である孔子ですが、その弟子たちが残した言行録である『論語』において、「辞は達するのみ」という考えを伝えています。

ここでいう”辞”とは”言葉”を指しており、噛み砕いてお伝えするなら「言葉は相手に伝えるからこそ意味がある」と解釈することができます。

2500年以上前の言葉からも現代の我々は多くを学べるんだな、とは感じませんか?

 

「言いたいこと」を相手に投げつけるのではなく、「伝わる言葉=相手にとっての最良」を選択できるビジネスパーソンになりたいですね。