3ステップで考える「RPAの将来性」|RPAとAIの組合せで未来が変わる?

今回のテーマは「RPAの将来性、特にAIとの組合せで生まれる可能性」についてです。

 

実際に現場レベルで「これからRPA導入の検討を始める企業」では、どのような視点・要素を頭に入れた上で検討を行うべきなのでしょうか?

 

今回は、そう言った疑問に対する一つの考え方として「RPA x AIの将来性」についてお話したいと思います。理解をより深めるために、3つのステップで具体的な導入効果と併せてご紹介します。

似たような悩みをお持ちの方は、検討要素の一つとして参考にして頂ければ嬉しく思います。

  • “RPAとAI”が進化する方向性を掴める
  • RPAとAIの可能性がイメージできる
  • 戦略的な視点でみたRPA x AIの 導入効果がわかる

 



RPA x AI が3ステップで実現する未来とは

RPAとAIは近い将来、次のような3ステップで進化していくことが想定されています。

  1. RPA (定型業務の自動化)
  2. EPA (一部の非定型業務の自動化)
  3. CA (高度な自立化)

2020年現在でも すでに大きな効果をあげつつあるRPAですが、実は長い目で見ると三段階のステップの最初の段階に過ぎません。

 

RPAxAIに関わる3つのステップについて、ひとつずつ詳しく考えていきましょう。

 

Phase.1 定型業務の自動化(RPA)

まず最初のステップとして、ロボットが「ルール化された業務(定型業務)を完璧にこなす」というゴールを目指すことになります。

このフェーズは、Robotic Process Automation:いわゆる業務プロセスの自動化に繋げるものです。

日々の業務の中でも、付加価値を付けにくいルーティン業務をロボットに代行してもらうー。

おそらくRPAの登場〜2019年現在に至るまで、多くのRPAプロジェクトがこの段階をゴールとして検討〜導入がスタートしたことかと思います。

 

RPAに期待される導入効果

RPAはその特性を鑑みても、これまでルーティン作業にしばられていた人的リソースを開放する手段として素晴らしい結果をもたらしてくれます。

特に顧客管理・予実管理といった業務をエクセルなどの表計算ソフトを行なっている企業には強くオススメできるソリューションの一つです。

数年単位の高い視点で見た時、こういった業務は「基幹システムの導入」により改善を図るのがより良い選択だと考えています。

 

しかし、わたしたちのような中小企業のリアルな問題として、「人的・経済的リソースが不足しがち」というものがあります。

つまり、まずは社内の優秀なメンバーの稼働を確保から始めなければならないケースがほとんどなのです。その点、納期・価格を抑えられるRPA導入は システム開発を行う”つなぎ”として活用することができます。

 

APIで様々なウラウドサービスを接続・連携し、業務プロセスの効率化を図る「Phase.1.5 有名サービス間の自動連携(DPA)」という考え方もあります。

最近のサービスだと、Microsoft365のPower Automateが既にDPA機能を提供していますね。

■【関連記事】MicrosoftのRPA!”Power Automate”の機能とポテンシャル

 

Phase.2 一部の非定型業務を自動化(EPA)

二つ目のフェーズでは、ロボットが「与えられた仕事から学び、改善策を提案する」というゴールの実現を目指します。

これはEnhanced Process Automation(進化したプロセスの自動化)と定義されており、ここでようやく「RPA x AI」という考え方が「具現化され始める段階」とも考えられるかもしれません。

EPAで実装されるのは、シンプルにお伝えすると「ロボットに目や耳、そして知識や経験を理解する機能が実装される」という機能です。

 

具体的なソリューションをご紹介するなら、

  • 目・・・・画像認識、OCR機能
  • 耳・・・・言語・音声解析
  • 記憶・・・データベース
  • 知識・・・ディープラーニング(深層学習)

などが挙げられます。

特にAI技術のキモとも言える「データの蓄積 x ディープラーニング」を活用することで、次に説明するPhase.3:CAの実現をグッと引き寄せることになります。

 

EPAに期待される導入効果

RPAが「全ての情報がコンピュータ内に保存されている前提で稼働」する自動化の仕組みなのに対し、EPAでは「情報のインプット部分からテクノロジーを活用」します。

すなわち、当然ですがデジタル情報で取り込まれることになります。これによって取り扱うことのできる情報が増え、結果として自動化の適用範囲が広まることになります。

 

Seeds4Biz編集部では、FAX廃止のステップとして請求・発注データの送受信を「インターネットFAX」や「電子メール」の活用を提言しているのですが、それらもこのEPA導入を見据えたご提案です。

【関連記事】FAX廃止の段階的な進め方|代替手段や現場の混乱を抑えて進める方法を解説

 

Phase.3 高度な自律化(CA)

3番目のフェーズは、ロボットが「高パフォーマンスを出すために、状況ごとに次に取るべき行動を提案する」ところまでに及びます。

CAはCognitive Automationの頭文字をとったものです。

 

具体的に小売業のケースを例に考えるなら

  1. AIが自動的に天候の情報を取得し、
  2. 数日間の天候を予測。
  3. 雨が続く場合、傘やレインコートの発注を増やし
  4. 自動で「売上げ予測の数字を上方修正」する

といった仕組みが実現されることになります。

 

CAに期待される導入効果

ここまでくると、次に取るべきアクションをロボットが提案・判断するという、もはや“暗黙知の共有”レベルの機能実装を目指すことになりますね。

これにより“業界および自社業務に精通し、状況ごとに最適な方法を助言できるエース社員”が増えたような効果が得られ、企業の成長力・競争力に非常に大きなインパクトを与えるようになるでしょう。

 

RPA導入の波は 地方の中小企業へも波及

当記事を執筆している2020年現在、政府も提言する「働き方改革」の影響を受けて様々なベンダーがRPAソリューション・サービスをリリースしています。

さらにICT市場専門のリサーチ企業:MM総研の調査によると、「2019年11月時点で国内の企業全体でのRPA導入率は38%程度でしたが、大企業での導入率は51%を超えている」ということが明らかになりました。

このデータからは 大企業の半数以上では、既にRPAが導入されていることが読み取れます。つまり今後は大企業以外にも対象を広げ、「地方の中堅中小企業へも導入が加速」していくことが予測されます。



まとめ

今回は「”RPA x AI”の将来性」をテーマに、3つのフェーズについて考察しました。

ご紹介した3つのフェーズは、総務省発行のメルマガにも記述のある「RPAの将来性としてクラス分けされた考え方」を基にしたものです。

 

「RPAの検討」をこれからスタートされる方も、次のステップを目指される方も。”RPA x AI”のフル活用で、会社を挙げて高い生産性・創造性の醸成に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

今回の内容が参考になった、という方は ぜひ他の関連記事からも気になる情報を見つけてみてください。