【徹底解説】ECRSの原則とは|改善のアイディアを磨き上げるガイドライン
前回記事 では「業務改革(BPR)とは何か? 」について。そしてさらに成長する企業が取組むべき理由について解説しました。
とはいえ、実際に業務改革プロジェクを進める業務改善担当の方、またはコンサルタントの中には
- 実際にどのようなアプローチで改善策を検討すべき?
- 何から手をつけたらいいんだろう?
と言った疑問に直面した方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そういった疑問にお答えする “改善のアイディアを磨き上げるガイドライン”として、「ECRSの原則」 をご紹介します。
記事の前半では、ECRSの概要やメリット、検討の流れについて。そして後半ではITソリューションを活用した改善事例をもとに解説していきます。
似たような悩みをお持ちの方、興味がある方は ぜひ最後までご覧ください。
- 「ECRSの原則」とは?その概要について理解できる
- 各ステップの検討イメージ、ITを活用した改善事例を知る。
ECRSの原則は、改善アイディアを磨き上げるガイドライン
まずECRSの原則とは何か?というところからですが、シンプルにお伝えするなら、改善策を検討する順番や視点を示したフレームワークとイメージ頂ければと思います。
いわば業務改善を行うにあたっての「切り口」を考える際に助けとなります。
また、ECRSはそれぞれ
- E|Eliminate:排除できないか?
- C|Combine:ひとつにできないか?
- R|Rearrange:入れ替えられないか?
- S|Simplify:簡素化できないか?
の頭文字から構成されており、それぞれ「排除」「結合」「入れ替え」「簡素化」を目指すものです。
実際に改善案を検討する方法として、実際の現場で働いている方から意見を聞くのは非常に重要なことです。・・・が、それ”だけ”に頼ってしまうと、焦点を当てるべきポイントに”抜け漏れ”が生じてしまうケースも多々あります。
そういった失敗を防ぐためにも、今回ご紹介するECRSや他のフレームワークを活用しつつ、改善案を網羅的に検討することが大切なポイントだと言えます。
■【関連記事】フレームワークを活用するメリット|全体像の把握・現状分析・可視化まで
ECRS活用のメリット:非効率を見つけ出す”視点”が手に入る
ECRSのメリットは、特に業務改善プロジェクトにおける「To-Be業務の策定」「解決策の検討」のフェーズにおいて非常に大きな価値がある、という点でしょう。
ECRSの起源をさかのぼると、「製造業の生産性向上」を目指すために生まれたフレームワークであり、日々の行動レベルで生産性を高めるのに有効な考え方だということもわかります。
日々の仕事の「非効率を見直す視点」としても理解しておいて損はないのではないでしょうか。(実際、製造業の現場では 「工員の行動 動線」〜「休憩時間の設定」に至るまで、さまざまな視点で生産性向上が求められています。)
ECRSに沿った 改善アイディア検討の流れ
ECRSを検討すべき順番は、ECRSの名前の通りE⇒C⇒R⇒Sの順番で行うのが良いとされています。(実際にECRSに沿って検討して頂くことで実感頂けることでしょう。)
場合によっては検討する内容が重複するケースもあるかもしれませんが、その場合はもう一度E⇒C⇒R⇒Sの順番で考えてみることをオススメします。
次のセクションからは、具体的な解決事例を交えつつECRSの考え方を解説していきます。
ぜひ「PDCAサイクル」ならぬ「ECRSサイクル」で、あなたの改善アイディアを磨き上げてみてください!
それではさっそく見ていきましょう。
Eliminate(排除):不要なプロセスを無くせないか?
まず最初にEliminateについて。
Eliminateでは、仕事(業務プロセス)の中にあるムダの部分を探し出し、もしその業務に付加価値がないのであればプロセス自体を無くすことはできないか?といった視点で検討を行う考え方です。
例を挙げるなら、誰も見ていない営業資料を毎月作成・更新している。目的のない・薄い管理者会議を毎週のように開催しているといったプロセスがEliminateの検討対象になるでしょう。
当然ですが “業務のムダ” とは、事前に「業務改善プロジェクト」の中で棚卸しを行うことで見えてくるものです。
■【関連記事】業務プロセス改革(=BPR)とは?成長企業が取り組むべき理由
Eliminate x ITの改善事例
Eliminateの視点でITソリューションを使った改善例をご紹介すると、月末になると管理者会議で大阪支社のメンバーが東京本社へ出張しているケースにおいて、Web会議システムを導入することなどが当てはまります。
これによって東京出張というプロセスを排除することが出来、時間的・金銭的コストの削減に繋がっていきます。
Combine(結合と分離):別の工程をひとつにできないか?
次にCombineについて。
ここでは似たようなプロセス・複数のステップを統合することにより、不必要な工程を削減したり特定の部署に集中させる方法がないか?を検討します。
例を挙げると、営業部と企画部のそれぞれで、売上データを別々に集計していたり、全体で朝礼を行った後、チームで会議をしている・・・などが挙げられます。
Combine x ITの改善事例
CombineをITソリューションを使って検討するなら、グループウェア上でデータ集計を自動で行い、各部門で自由に参照できるような仕組みを作ってみてはいかがでしょうか。
もしあなたが管理者の権限を持っていて組織構成の領域まで手を付けられるのであれば、類似した仕事をしている部署を統一し、専門部署として運用する。という解決策を検討するのも良いかもしれません。
某金融機関では、各支店で対応していたという事務処理業務の一部を集中事務処理センター(仮)に集約することに成功したことが知られています。
このケースでは、 現場に近い店舗の業務負担を減らしつつ、センターに必要なナレッジをまとめることで専門性が高めることになり、結果として業務の効率化を成功させることができました。
■【関連記事】中小企業がDXを実現する最初のステップ|統合型グループウェアの検討を
Rearrange(入替えと代替):順番を変えられないか?
そしてRearrangeについて。
Rearrangeでは複数ある仕事に優先順位をつけて対応したり、業務の流れにおいて対応するプロセスの順番を変更することによって、業務負荷を低減する方法を模索します。
たとえばこれまで使っていた不便なツールを新しいツールに変更する、ということもこれに該当する考え方です。
Rearrange x ITの改善事例
ITソリューションを活用したRearrangeの成功例としては、紙で行っていた交通費申請業務をワークフローシステムで代替するなどが挙げられます。
また「紙申請」を「電子申請」にRearrangeすることは、組織がDX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進めるための最初のステップです。
この延長線上には、RPAやAIを活用したプロセスの自動化が待っています。
■【関連記事】”RPAとは?” 概要・メリットや検討ポイントをご紹介
■【関連記事】RPAとAIで未来が変わる? “3つのステップ”で考えるRPAの将来性
Simplify(簡素化):単純化・自動化できないか?
最後にSimplifyについて。
Simplifyでは「体裁に捉われすぎている」「先輩に教わってきたやり方だから」と言った理由で付加価値を生み出さず、形骸化してしまっているプロセスに注目します。
これを単純化して効率化する方法を検討します。
Simplify x ITの改善事例
ITソリューションを使ってSimplifyを実現した成功例としては
- 業務報告を「メール・電話」から「ビジネスチャット」に変更
- 外出先からの「CRMシステム登録」で自動的に「営業日報」を作成
といった仕組みの実装が挙げられます。
■【関連記事】カスタマーファーストのためのITツールとは?|CRMシステム活用のススメ
■【関連記事】ビジネスチャットとは|チームの連携を強化して事業活動を加速させろ!
まとめ
ECRSは、BRPプロジェクトの中で、現状業務を可視化した後、どのような解決策を検討するか?という場面で力を発揮します。いわばガイドライン的な考え方として捉えると良いでしょう。
もちろん個々人で取組むような、ちょっとした改善活動でも役立つ考え方だと思います。
みなさまも、ぜひご自身の業務やクライアントの業務に当てはめ、知恵を絞って最適な解決策を模索してみてはいかがでしょうか。
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